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手の外科

概要

現在、京都大学手外科グループは平成5年卒の池口良輔(リハビリテーション部准教授)と平成7年卒の太田壮一(講師)で大学病院の臨床を担当させていただきます。
人類は手という部分を繊細に機能的に用いることによって道具を使うことができるようになって、古代から人類としての文明を作り出してきました。現代社会においてもパソコンや携帯電話に代表されるように、手は日常生活に不可欠で、手の機能が障害されれば人間としての生活は大きく制限されることになります。手の外科とはこのような上肢の障害や疾患に対して保存的に時には外科的に治療を行って、手の機能を回復させることが目的です。
このような繊細な器官である手は、骨、軟骨、靱帯、腱、神経、血管、皮膚などの組織が密集する構造のために、包丁で切ったといった一見単純に見える外傷でも近接する組織にまで損傷が及んでいることも少なくなく、注意が必要です。治療を行うには専門的な知識とマイクロサージャリーの技術が必要になってくることも少なくありません。
上肢疾患は幅広く、先天異常から腕神経叢、肘関節、手関節や指先に至るまでが含まれ、当科では専門的な治療を行います。大学病院では手術枠に限りがありますが、橈骨遠位端骨折、腱断裂、神経断裂に対する手術も関連病院と連携して可能な限り対応させていただく所存です。

改革

京都大学での手外科の歴史は古く、その始まりは、上羽康夫名誉教授が Robert Carrollのもとに留学し、当時まだ新しかった手外科学を学ばれ、それを京都大学に持ち帰られた1966年に遡ります。先天奇形、手の外傷や疾患を当時の最新の知識と技術をもって治療され、1974年には世界初となる血管柄付き骨移植を当院で施行されました。その後も京都大学から多くの手外科医を排出され、日本の手の外科学の発展に寄与してきました。

取り扱う疾患

先天異常の治療:母指多指症、母指低形成、合指症、屈指症など
上肢骨折治療:橈骨遠位端骨折、骨折後変形、舟状骨偽関節、肘関節骨折、手指骨折など
手首の痛み:TFCC損傷、キーンベック病など
しびれの治療:手根管症候群、肘部管症候群、胸郭出口症候群など
拘縮:デュプイトレン拘縮、外傷後拘縮など
腱鞘炎:ばね指、ドゥケルバン症候群など
変形性関節症:CM関節症、ヘバーデン結節、ブシャール結節など
切断された組織の再接合、欠損した組織の修復、腱、神経、血管、指の再接合
外傷や腫瘍切除により欠損した骨、皮膚を補填(遊離複合組織移植術)、失われた運動機能の再建
腕神経叢損傷に対する腱移行術、神経移行術、筋肉移植術など