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リウマチ外科 関節リウマチ手術/上肢 脊椎

関節リウマチ手術 上肢・脊椎

京都大学整形外科リウマチグループでは関節リウマチ患者さんのあらゆる関節に対応した手術を行っています。

リウマチ外科専門医が各患者さんの病態に合わせて、適切な手術を選択・実施しています。

上肢

● 人工肘関節置換術

肘の痛みや動きの制限のせいで、「食事の際に食べ物が口に運べない」「洗顔や洗髪が出来ない」「シャツのボタンが留められない」「お風呂で身体を洗えない」「トイレでお尻を拭けない」「靴や靴下が履けない」などの症状がある方に手術を行っています。耐用年数は10年間で85~90%持つと言われています。
京都大学では以前より半拘束性といわれるインプラントを使用しています。ある程度専門性を要する手術です。
 
<代表症例>
74歳女性。20年前に関節リウマチと診断された。
薬物療法を行うも、右肘関節痛が残存した。少しずつ動かせる範囲が減少し、口に手が届きにくくなったため手術を行った。
3週間のギプス固定とリハビリを行い、肘関節の痛みは消失、ものが食べやすくなった。

 

 

● 手関節形成術、伸筋腱再建術

手関節は関節の痛みやはれが出やすい関節で、薬物治療で他の関節と共に症状がおさまったと思っても、わずかな炎症が残りやすい関節です。手関節の破壊が進行して、あるとき突然小指あるいは薬指と小指が伸ばせなくなります。これは滑膜炎が伸筋腱を傷害すること、変形した手関節の骨が伸筋腱と摩擦することによっておこると考えられています。通常痛みを伴わず、「手が握れるから大丈夫」と放置していると人差し指まで伸ばせなくなり、再建するのがとても困難になります。
1本でも指が伸ばせなくなったらご相談ください。見た目に伸筋腱が1本しか切れていない場合でも実際には複数変性して切れかけていることがあります。断裂している腱の数が多いと、術後の指の動きも悪くなることがあります。
手術は全身麻酔あるいは伝達麻酔(局所麻酔)で行います。多くの場合は残った腱に縫い付ける腱移行術を行いますが、腱移植という別の腱を移植することもあります。その後の再断裂を予防するために骨を削って関節形成術を行います。

手術後は3週間程度ギプス(シャーレ)やテーピングを行うことが多いですが術式によって異なります。

<代表症例>
65歳女性。25年前に関節リウマチと診断された。
現在関節痛はほとんどないが、右手をついて立ち上がると痛む。ある日、右手薬指、小指が伸ばせないことに気づいた。
病院で伸筋腱の断裂を指摘された。
手術を施行、3週間のギプス固定とテーピングを行い、手指伸展が可能となった。 

 

 

● 手指の手術
(人工指関節置換術、軟部組織再建術、手指関節固定術)

手指関節は関節リウマチ患者さんの罹患しやすい関節の1つです。通常関節の変形はゆっくり進むことが多く、変形した手指に慣れて生活をしていることが多いです。しかし、関節が変形して可動性が少なくなったり、美容上の問題で変形した手指をなおしたい時には人工指関節置換術や軟部組織再建術を行います。また軟部組織がゆるかったり、変形が強すぎて、人工関節が適応にならない場合には関節固定術で関節機能の再建を図ることがあります。
高度の専門性が必要となる部分です。変形した手指の治療は簡単ではありませんが、改善可能なことも多々あります。リウマチ外科医に是非ご相談ください。

<代表症例>
85歳女性。30年前に関節リウマチと診断された。
現在関節痛はほとんどないが、以前関節痛が強かったときに右手指が少しずつ変形していき、曲がったままとなった。こんなものとあきらめていたが、医師と相談し手術を受けることとした。
手術を施行、3週間のギプス固定とその後装具療法、リハビリを行い、手指伸展が可能となった。

 

 ● 上位頚椎固定術

関節リウマチ患者さんの頚椎病変は近年関節リウマチの治療の進歩に伴い、その発症頻度は減り、進行のスピードが遅くなってきました。ただし、これをお持ちの患者さんは定期的に経過観察が必要であると共に、手足の動かしにくさ、歩行のしづらさ、後頭部痛などの症状が出てきたときには手術が必要です。画像上、不安定性が強く、今後麻痺などが懸念される場合も早めに手術が薦められることがあります。
高度の専門性を必要とする分野で、京都大学整形外科ではこれらの病態に精通した医師が脊椎グループと連携しながら治療を行っています。
 
<代表症例>
70歳代女性。関節リウマチ罹患15年。頚部痛と手指の動かしにくさがあり、受診した。第1頚椎と第2頚椎に不安定性を認めた。
第1頚椎と第2頚椎の固定術を行い、症状が改善した。

 

脊椎

● 腰椎手術

関節リウマチ患者さんは骨粗鬆症、サルコペニア、四肢関節障害などをお持ちのことがあります。さらに関節リウマチをお持ちの方は、疾患のコントロールがうまくできていないと脊椎のバランスが悪くなったり、側彎になることが京都大学の研究でわかってきました。
関節リウマチの方の手術は感染症や骨粗鬆症に伴う合併症が多く、関節リウマチに精通した医師による治療が望ましい分野です。京都大学では関節リウマチの病態に精通した医師が、脊椎の病変、リウマチの治療内容、内蔵機能、生活レベルに応じて、適切な手術選択を行っています。
 
<代表症例>
75歳男性。関節リウマチ罹患22年。腰痛と左下肢の痛みがあり、10分程度しか歩けない。
腰椎手術を施行、2週間程度のリハビリを行った。
手術後3ヶ月で1時間程度の連続した歩行が可能となった。