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膝関節外科

概要

膝関節グループは、膝の痛みに対する治療を専門にしています。その中で最も多くの患者さんが困っている疾患は、怪我や加齢により膝の軟骨がいたむ変形性膝関節症です。診察とレントゲンやMRIなどの画像診断により変形の程度を診断して、可能な限り運動療法・装具療法・投薬・関節内注射などの保存療法を試みます。しかし、保存療法にも限界があり、効果が認められない場合に、手術療法をおすすめします。手術療法は、膝関節の軟骨障害や変形の程度により異なりますので、それぞれの患者さんの症状に応じて最適な方法を選択します。

自家骨軟骨柱移植術

怪我などによる狭い範囲の軟骨損傷や骨壊死の場合、同じ膝関節内のほとんど使われていない前方部位から正常軟骨をいくつか円柱状に採取して、モザイク細工のように損傷部位にはめ込む骨軟骨柱移植術(モザイクプラスティ)を行います。この治療法は、京都大学整形外科が世界に先駆け臨床応用し、良好な長期成績を得ております。

軟骨移植術

自家培養軟骨移植術

自家骨軟骨柱移植術では対応困難な広い範囲の外傷性軟骨損傷がある患者さんには、自家培養軟骨移植術の適応となります。移植手術の一ヶ月前にデイサージェリーで関節鏡により少量の正常軟骨の採取を行います。一ヶ月間培養の上直径約2cmの培養軟骨を数個作成し、軟骨損傷部に移植を行います。まだ短期成績ではありますが、広い範囲の軟骨損傷にも関わらず十分な軟骨修復ができており、術後経過は良好です。

自家培養軟骨移植術

高位脛骨骨切り術と人工膝関節単顆置換術

日本人は西洋人と比較して、ややO脚であるといわれています。年齢と共に外側に比べ内側軟骨の片減りや骨壊死をきたし、膝の内側が痛くなります。このような場合の手術法は二通りあります。一つはすね(脛骨)の膝関節に近い上の方(高位)に一部切り込みを加え(骨切り)O脚をX脚に戻す高位脛骨骨切り術です。骨切り部の補填には、自分の骨に置き換わる人工骨を移植します。患者さん自身の膝関節を残すことができ、内側の軟骨にかかる負担を外側に分散して痛みを取り除きます。一度骨を切る必要があるため、骨粗鬆症の強くない70歳前後の患者さんに適応です。私たちは正確な矯正を行うために、コンピュータで三次元的な術前設計の上手術を行っております。70歳以降は、内側の関節のみ小さな金属の関節に置き換えることで、正坐も可能な人工膝関節単顆置換術を行っています。これらの手術は患者満足度の高い手術ですが、外側の軟骨や関節内の靱帯が正常であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。

高位脛骨骨切り術と人工膝関節単顆置換術

人工膝関節全置換術

膝関節全体に変形のおよんだ患者さんに適応で、いたんだ膝関節の表面を取り除き、もとの膝関節とほぼ同じ大きさの金属やセラミックでできた人工関節に入れ替える手術です。O脚はきれいなX脚となり優れた除痛効果が期待でき、術直後より歩行練習を開始することができます。また、強く変形した膝関節を正確に矯正可能なナビゲーション手術、コンピュータシミュレーションにより今まで解明できなかった人工膝関節の問題点を解析する研究、そして正常の膝関節の動きに近い次世代の人工膝関節の開発などを積極的に行っております。

私たちは、患者さん各々の膝関節の損傷の程度に応じて適切な治療方法を選択し、患者さんの立場に立った満足度の高い治療を常に目指しております。

人工膝関節全置換術